帰国子女の学習事情 算数は共通語

あまり語られる機会がない帰国子女事情  20数年分を少しずつ振り返ります

現地校という選択

我が家の家族構成は夫婦と娘がふたり。
娘ふたりは海外生まれの帰国子女です。
駐在国の環境や渡航のタイミング、子供の性格で選択は異なりますが、子供連れの駐在家族が特に気にかけるのは子供が通う学校のことです。

駐在決定直後、まず気にかけるのは現地の状況と教育制度について。家が決まらないと学校の申請もできないため急いで調査を開始します。
近くに安全に通える学校があるか。
母国語環境が確保できるかどうか。
少ない情報をかき集め、ベストな学校を探して対応することになります。

現地校に通う場合、小学生まで親の送迎が必要なところが多いのでしばらくは親子共に大変ですが、子供が毎日休まずに通学するだけでもすごいこと!
親は子供に寄り添い見守るのみです。

以下、現地校に行かせて思うことです。

計算式は共通語!

駐在家庭の子供が現地校に通う中で一番大変な科目はやはり国語です。小学1年生でさえ決して簡単ではありません。
特殊な読み方や言い回しから入るため宿題も親子でひと苦労。母国語生徒との差を認識させられる科目です。

では一番入りやすいのは?
計算、そう算数です。

例えば算数で計算問題がでたとします。
計算できれば正解できるのが算数。数字の読み方さえわかれば誰よりも早く手を挙げて答えることもできます。
クラスの友達と正々堂々勝負できる唯一の科目なのです。

例えば算数で文章問題がでたとします。
最初は無理ですが、家で読み返して理解することがとても良い勉強になります。
文章問題の場合、簡潔な文章の中に答えを出すための情報と何を答えるべきかが必ず明記されています。
質問の仕方と答え方の両方を学ぶことができるのが意外にも算数なのです。

いくらやっても母国語の子供にかなわない国語と違い、失いかけた自信を取り戻すきっかけになり得る科目です。

授業を受ける前に

親世代は学生時代に数年間の英語の授業を受けていますが、小学生が使うことばを難なく英語で言うことができる方はどのくらいいるのでしょうか。

子供の勉強を見るたび、ごく簡単なことも自分が知らないことには我ながらあきれました。周りの話を聞く限り私だけではなさそうです。

算数だけを考えれば、足し算・引き算くらいまでは察することができたものの、積・商などは対応することばが存在することさえ子供の宿題で知る始末。偶数・奇数・少数・分数、垂直等の算数英単語は全く知りませんでした。

常識的な単語は授業中の説明さえありません。これらのことばを知っているかどうかは授業を受ける時の学習意欲に大きく影響します。
覚えていれば調べることもできますが、知らないことばかりで何が大事なのかもわからない状態です。予め大事なことをおさえることがどれほど助けになるか。
聞いたことがあるかはとても大事です。

英語を例に出しましたが、小学校で使う基本的なことばは言語にかかわらず生活に必要なことばかりです。
常識と言えることも多いことから、Tangoには学校で使う少し難しめの単語を各科目別に数語ずつ載せてみました。
学習のヒントになれば幸いです。

帰国後の算数事情

英語の学び直しで知ったことの中に分数の読み方があります。
母国語では読めて当然という感覚なので少なからずショックでした。

分母が5に分子が3で "ごぶんのさん"。
英語では "three-fifths" と習いますが、最近 "three over five" という読みもあることを知りました。

英語の得意な主人は知らないとのこと。
次女に聞くと、イギリスでは普通に使うと言います。軽い説明のあとで帰国後の中学での出来事を話してくれました。

実は中学3年生で帰国した時、分数の日本語の読み方を知らなかったそうです。
英語の読みから "さんぶんのご" と読み、違いを指摘されたとのこと。
しばらく混乱したと言います。

全く知りませんでした。
完全に灯台もと暗しです。

小学校の途中で日本を離れて中学で帰国した場合日本語の読みを知らなくても全く不思議ではありません。
同様の体験をお持ちの方もきっといらっしゃるのでしょう。
言われないと気がつかないものですね。

この話を聞きTangoには数字部分にも読み仮名をふることにしました。

ことばと向き合う人をTangoは応援しています。誰かのお役に立てますように。
T-2 基本用語
T-52 名詞 学校

  参考 ; 最初に数字を学ぶ理由    

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