子供が使える語学手帳を

子供が使える外国語教材が全然ない!  20年前 Tangoのもとができた背景です

1999 イタリア語紀行

聖年目前の1999年、我が家はイタリアのローマに住むことになりました。
当時長女は5歳。大好きな幼稚園を退園し全く知らない国へ引越しです。
行くまでの数ヶ月間、親はイタリアの雰囲気を伝えることに努めました。
映画「ローマの休日」を見たり、山梨のぶどう畑に足を運んだり、子供のための聖書の絵本を買ってきて読んだり。

イタリア語を習いには行けませんでしたが、CD付きの本を用意し家でかけているとほぼ全編を暗唱する程に。これなら少し頑張ればすぐ慣れるかもしれません。
〝ローマに行ったら子供向けのサマースクールに参加して少し様子をみよう。〟
〝春までは幼稚園ではなくいくつか習い事をしながらイタリア語に慣れるのもいいかもしれない。4月になったら日本人小学校の1年生に...。〟
そんな淡い期待を抱き、いざローマへ。

7月、イタリアに渡った我々を待っていたのは長い長い夏休みでした。
ローマは見事にヴァカンツァ真っ只中。サマースクールは数ヶ月前に埋まり、家を探そうにも不動産やさんは休業。町が閑散としています。行く前の淡い期待は数日で焦りに変わりました。

何より困ったのはことばが全く通じないこと。宿泊先や旅行者が行くところは英語が使えますが、町なかのお店や子供の遊び場所では会話の全てがイタリア語。覚えたCDは旅行のための決まった会話であり日々のやり取りには足りません。

ずっと英語がわからないと思っていましたが生活用語のわからないは次元が違いました。状況としては生まれたての赤ちゃんよりも厳しいかもしれません。
こんな状態では休みが終わっても習い事を始めるどころではなくふたりで煮詰まるのも時間の問題でした。

子供が学べる本も探しましたがどこを見ても絵本か文字の書き方を覚えるものばかり。イタリアに限らず外国語としての子供用の語学本は探してもないのです。
とにかく何とかしなければ!

学習手帳Tangoのもと

Tangoのもとができたのはこの時です。
子供と向き合い1対1、知りたいこと・必要なことば・適度な量・字の大きさ等、顔を見て確認しながら持ち合わせのA6手帳に記入しました。
品詞を意識できるよう名前のことば・様子のことば・動きのことばなどと分け、色マジックで爪見出しもどきをつけた手作り感あふれるカスタマイズ手帳です。

全部で1000語ほどを集めカタカナで読みを記しただけでしたが、娘は約3ヶ月間どこに行く時もこれを持ち歩きました。
カタカナを覚えたばかりの小さな子供でも興味さえあれば学習ができる。
この時に知ったことです。

友達がほしいと熱を出した娘のために急いで家を決め知り合いの助けをかりて現地校に入ったのは10月も終わる頃。
学校にも手帳を持って通いました。
記入したイタリア語でクラスの友達に読み方を教えてもらい、自分で記入や訂正をして立派に使いこなしてくれました。

後日、私自身がこれを持つようになり手帳の使いやすさに驚くことに。
自分が外で使うことを書き加え必要なことだけを持ち歩けること、コンパクトサイズで一切余分がないことが快適です。
子供が使いやすいものは大人も使えると実感する貴重な体験になりました。

このノートは今でも我が家で健在です。
ぼろぼろでも手に取ると愛着を感じる、そんな存在のTangoのもとです。
20年もの Tangoのもと